今回は、Elgatoのキャプチャーボード「Game Capture HD」の仕様・性能について、製品外箱や公式サイトなどに記載された情報をもとに、できるだけわかりやすくご紹介します。
Nintendo SwitchやPS5などの最新ゲーム機よりは、ファミコンやPS2などのレトロゲームをキャプチャーしたい!という方にピッタリなのが「Elgato Game Capture HD」です。
すでに生産が終了しているElgato製のキャプチャーボードで、機能や録画品質にやや物足りなさを感じますが、実はHDMI・コンポーネント・コンポジット・S端子ケーブルの接続に対応している貴重で器用なキャプチャーボードなんです。
出来るだけ多くの種類のレトロゲームで手っ取り早くゲーム実況・配信をしたい場合には、かなり重宝する1台です。
Elgato「Game Capture HD」とは?特徴&使い方について
製品名 | Game Capture HD |
パソコンとの接続方法 | 外付け型・USB2.0 |
エンコード方式 | ハードウェアエンコード(H.264+AAC) |
パススルー出力 | フルHD(1920×1080)パススルー対応 |
最大録画品質 | 1080p/30fps(720pでは60fps) |
映像ビットレート | 最大30Mbps |
接続可能なビデオ端子 | HDMI・コンポーネント・コンポジット・S端子 |
対応OS | Windows 7 以降 / macOS X 10.7 Lion 以降 |
発売日 | 2012年5月21日(日本は2012年8月中旬) |
備考 | S端子アダプタは別売り |
「Game Capture HD」は、アメリカのCORSAIR(コルセア)傘下のブランドで、クリエイター向けの様々なハードウェア&ソフトウェアを開発・販売しているドイツ創業のメーカー・Elgatoによるキャプチャーボードです。
フルHDパススルー&HDMI接続による最大1080p/30fpsでのキャプチャーが可能でありながら、付属ケーブルでコンポーネント・コンポジット接続に、別売りアダプタでS端子接続での録画にも対応している珍しい製品です。
発売されたのは2012年8月頃で製品としては古めですが、最新ゲーム機だけでなくレトロゲームの映像も録画に対応している、意外と万能なキャプチャーボードです。
残念ながら生産終了品のために新品での購入は困難ですが、メルカリなどのフリマアプリでは、中古品4000円前後で取引されています。
Game Capture HD 本体の外観&接続端子をチェックしよう
- 大きさ:幅109mm×奥行73mm×高さ24mm
- 重さ:約142g
キャプチャーボードとしては標準的な大きさ・重さで、持ち運びも容易な手のひらサイズです。
Elgato製キャプチャーボードに共通している「黒色のシンプルなデザイン」は、Game Capture HDでも見られます。
本体は光沢があり綺麗なのですが、指紋が付きやすく目立つため、本体を覆っているビニールをそのままにして使っています。
四角い形状をしつつ丸みのあるデザインで、後の「Game Capture HD60シリーズ(HD60・HD60 S・HD60 S+)」とはちょっと違った印象を受けます。
とはいえ、本体の外観・サイズ・接続端子の配置などは、HD60シリーズの基礎になっている感じはありますね。
本体上面を見てみると「elgato」「game capture HD」「旧Elgatoロゴ」とプリントされています。
HD60シリーズであれば、この上面部分に本体の状態を確認できるLEDランプも存在するのですが、このGame Capture HDの頃にはまだ搭載されていません。
本体側面(左側)の接続端子は「A/V In端子」と「HDMI In端子」のみ。
A/V In端子はGame Capture HD専用のもので、付属品のPlayStation 3 専用ケーブルやコンポーネント変換ケーブルが接続できます。
HDMI In端子には、HDMI出力を備えたゲーム機や端末とHDMIケーブルで繋ぎます。
本体側面(右側)の接続端子は「HDMI Out端子」と「mini USB2.0 Type-B端子」のみ。
HDMI Out端子には、付属品のHDMIケーブルで映像出力先となるテレビ・モニターと繋ぎます。
mini USB2.0 Type-B端子は電源供給と映像データ転送のためのもので、付属品のUSB2.0ケーブルを使ってパソコンと接続します。
接続端子の配置が入力・出力で分かれているので、初心者でも接続しやすいデザインとなっています。これは後のHD60シリーズでも同じようなデザインになっています。
Game Capture HDの付属品
下記5点がGame Capture HDの付属品です。
- クイックスタートガイド
- USB2.0ケーブル
- HDMIケーブル
- PlayStation3専用ケーブル
- コンポーネント変換ケーブル
画像の中にはありませんが、「クイックスタートガイド」というものがGame Capture HDの箱の裏側……というかわかりづらい場所に挟まっています。本体接続方法などの簡単な案内なので、無くても特に問題ありません。
USB2.0ケーブルはPCと接続して、給電や映像データ転送に使用します。
HDMIケーブルはパススルー出力用に付属しています。
USB2.0ケーブルとHDMIケーブルは、市販のものでも代用可能です。
PlayStation3専用ケーブルは、Game Capture HD本体のA/V In端子に繋いで、PS3を接続するための専用ケーブルです。
PS3映像はHDCP信号でプロテクトされているので、HDMIケーブルで接続しても映像が出力されません。そのため、PS3専用ケーブルが付属しています。ちなみに画質はコンポーネントケーブルで接続したときと同じです。
コンポーネント変換ケーブルも、本体のA/V In端子に繋いで使用する専用ケーブルです。コンポーネントケーブルだけでなく、コンポジットケーブルも接続することができます。
PlayStation 3 専用ケーブルとコンポーネント変換ケーブルは、Game Capture HD専用のケーブルなので、USB2.0ケーブルやHDMIケーブルと違って、失くしたり壊したりしてしまうと代用できません。
また、中古品を購入する際にもこの2つが付属しているかどうかを必ず確認しましょう。
ちなみに、付属品の中にS端子ケーブルはありませんが、Game Capture HD自体はS端子接続での録画にも対応しています。
Elgato Online Storeで販売されていたS端子対応アダプタを接続することができますが、現在は入手困難です。
代用案としては、BUFFALO「PC-SDVD U2G」というキャプチャーデバイスのアダプターを流用して、S端子・コンポジット接続で録画することが可能です。
Game Capture HDのスペックについて/本体仕様・録画品質をチェックしよう!
ここではGame Capture HDの各種スペックについて、以下4つに分けながら確認していきましょう。
- 動作環境
- 使用可能なキャプチャーソフト
- 接続可能なゲーム機・端末
- 録画性能
動作環境
- 対応OS:Windows 7 以降(64 / 32ビット版)、macOS X 10.7 Lion 以
- 接続インターフェイス:USB 2.0 以降のポート
- CPU:Intel Core 2 Duo / i3 / i5 / i7 2.0GHz または 第2世代 Intel Core i5-2xxx 2.0GHz 以上
- メモリ:4GB RAM 以上
2012年発売のキャプチャーボードなので、2021年現在の基準で考えると要求スペックはかなり低めです。グラフィックボードも必須とはなっていないため、余程の低スペックCPUでも使わない限りは問題なく動作します。
使用可能なキャプチャーソフト
- Elgato「Game Capture HD(ソフトウェア)」
- OBS Studio
- Xsplit
- その他サードパーティー製ソフト
Elgatoのサイトから、本体と同名の「Game Capture HD」というキャプチャーソフトを無料でダウンロードすることができます。
「Windows 10 64-bit ビット、またはそれ以降が必要です」と記載がありますが、Windows 7 / 8(64・32ビット)の場合は、バージョン履歴からGame Capture HD バージョン3.20.31をダウンロードすれば使用可能です。
「OBS Studio」や「Xsplit」などのサードパーティー製キャプチャーソフトにも対応しているので、普段から使用している録画・配信ソフトを選べるのは良いですね。
接続可能なゲーム機・端末
Game Capture HDとHDMI・コンポーネント・コンポジット・S端子ケーブルで接続可能な機器を、Nintendo・SONY・その他ゲーム機(端末)ごとに表にまとめてみました。
なお、実機の使用を前提としているため、互換機や映像・音声コンバーターなどを使用する場合は、正常にキャプチャーできない可能性があります。
ゲーム機(Nintendo) | HDMI | コンポーネント | コンポジット | S端子 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
Nintendo Switch | ◯ | × | × | × | テレビモードでの使用必須 |
Nintendo Switch Lite | × | × | × | × | テレビ出力自体ができない |
Wii U | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
Wii | × | ◯ | ◯ | ◯ | |
ゲームキューブ | × | △ | ◯ | ◯ | コンポーネント接続は型番:DOL-101の本体のみ |
ニンテンドー64 | × | × | ◯ | ◯ | |
スーパーファミコン | × | × | ◯ | ◯ | |
ファミリーコンピュータ | × | × | △ | × | AV出力対応の本体※1の使用推奨 |
ゲーム機(SONY) | HDMI | コンポーネント | コンポジット | S端子 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
PlayStation 5 | ◯ | × | × | × | 設定でHDCPをオフにする |
PlayStation 4 | ◯ | × | × | × | 設定でHDCPをオフにする |
PlayStation 3 | △ ※2 | ◯ | ◯ | ◯ | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
PlayStation 2 | × | ◯ | ◯ | ◯ | |
PlayStation 1 | × | × | ◯ | ◯ | |
PlayStation Vita TV | △ ※2 | × | × | × | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
PlayStation Portable | × | ◯ | ◯ | ○ | PSP2000・3000専用ケーブルが必要 ※3 |
その他ゲーム機・端末 | HDMI | コンポーネント | コンポジット | S端子 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
Xbox Series X / S | ◯ | × | × | × | |
Xbox One | ◯ | × | × | × | |
Xbox 360 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
Xbox | × | ◯ | ◯ | ◯ | |
iOSデバイス | ◯ | × | × | × | Lightning Digial AVアダプタを使用 |
Androidデバイス | △ ※2 | × | × | × | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
※1 ニューファミコンやツインファミコンなど
※2 HDCP信号が含まれているため、HDMI接続での録画は不可。とある分配器を使用すればHDMI接続での録画が可能になる
※3 PSP2000ではコンポジット・S端子などのインターレース方式のゲーム画面のテレビ出力が不可
録画性能
フルHDパススルー出力対応で、ハードウェアエンコード方式(H.264+AAC)にて最大1080p/30fpsでのキャプチャーが可能です。
映像の入出力も1080p/60fpsまで対応しているので、Nintendo SwitchやPS5などの最新ゲーム機も問題なくパススルー出力が可能ですが、キャプチャー性能はフレームレートが制限されるため、最大1080p/30fpsまでと少々力不足な印象です。
とはいえ、付属ケーブルを使ってコンポーネント・コンポジット接続が可能なので、ファミコンやゲームキューブ、PS2などのレトロゲームのキャプチャーには最適です。
Game Capture HDの録画品質(Elgato製キャプチャーソフト使用時) | |
---|---|
エンコード方式 | ハードウェアエンコード(H.264+AAC) |
パススルー出力 | フルHD(1920×1080)パススルー対応 |
対応入出力解像度 | 1920×1080 / 1280×720 / 720×576 / 720×480 / 320×240 ※3 |
対応録画品質 | 1080p(30fps) / 1080i / 720p(60fps・30fps)/ 576p / 576i / 480p / 480i / 240i ※4 |
映像ビットレート | 最大30Mbps |
音声ビットレート | 固定224kbps |
動画ファイル形式 | TS ※5 |
※3 640×480は非対応。また、外箱には288p・240pの記載があり、未確認ですが入出力も可能かもしれません
※4 640×480は非対応。また、外箱には288p・240pの記載があり、未確認ですが入出力も可能かもしれません
※3 設定項目でMP4形式での自動書き出しも選択可能
Game Capture HDについてまとめると……
- 2012年に発売したElgato製の外付け型キャプチャーボード
- ゲーム機や携帯端末とHDMI・コンポーネント・コンポジット・S端子ケーブルで接続が可能
- フルHDパススルー出力対応で、最大録画解像度は1080p/30fps
- 動作環境で要求されているPCスペックはかなり低め
発売から年数が経過しているものの、中古品としても見かける機会は多く、まだまだ現役で活躍できる製品です。
個人的には、S端子アダプタも揃えてレトロゲーム機専用のキャプチャーボードにしたら面白そうかもと思います。
手っ取り早くゲーム実況・配信を始めたい初心者、有名なメーカーのキャプチャーボードが欲しい人、最新ゲーム機よりはレトロゲーム機の映像をキャプチャーしたい人などに、Game Capture HDはピッタリです。
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