今回は、AVerMediaのキャプチャーボード「Live Gamer Portable AVT-C875」の仕様・性能について、製品外箱や公式サイトなどに記載された情報をもとに、できるだけわかりやすく紹介していきます。
「色んなゲーム機の映像をキャプチャーしたい!」
「持ち運びも楽々できる小型なものが欲しい!」
「初心者でも簡単に使いこなせるキャプチャーボードが欲しい!」という方々には、AVT-C875はピッタリかもしれません。
AVerMediaのキャプチャーボードとしては2013年8月発売と少し古めですが、ゲーム実況・配信が初心者でも使いやすい機能が揃っているため、生産終了後も未だに人気の高い製品です。
AVerMedia「AVT-C875」とは?特徴&使い方について
製品名 | Live Gamer Portable AVT-C875(通称:AVT-C875) |
パソコンとの接続方法 | 外付け型・USB2.0 & PC不要・単体録画(スタンドアロン) |
エンコード方式 | ハードウェアエンコード(H.264+AAC) |
パススルー出力 | フルHD(1920×1080)パススルー対応 |
最大録画品質 | 1080p/30fps(720pは60fpsまで可) |
映像ビットレート | 最大60Mbps(PC録画モード)/ 最大16Mbps(単体録画モード) |
接続可能なビデオ端子 | HDMI・コンポーネント |
対応OS | Windows 7 以降(64・32ビット版)、macOS 10.9 Mavericks 以降 |
発売日 | 2013年8月下旬 |
備考 | PC不要の単体録画モード搭載(ストレージにSDカードを使用) |
「Live Gamer Portable AVT-C875」は、様々なデジタル機器の設計・製造をしている台湾の企業・AVerMedia(アバーメディア)によるポータブルビデオキャプチャーボードです。
フルHD映像のパススルー&HDMI・コンポーネント接続による録画が可能なだけでなく、PCとUSB2.0接続(PC録画モード)でもPC不要(単体録画モード)でも、どちらでも簡単にキャプチャーが行える便利な機能が搭載されています。
手軽に持ち運びができる小型サイズながら、録画・配信に必要な機能はしっかりと備わっている初心者向けのキャプチャーボードと言えます。
残念ながら2019年1月時点で既に生産が終了していますが、現在でもメルカリなどのフリマアプリでは中古品が4000円前後で取引されています。
AVT-C875 本体の外観&接続端子をチェックしよう
- 大きさ:幅131mm×奥行70mm×高さ22mm
- 重さ:約117g
AVerMedia製品によく見られる黒&赤の2色を基調とした、丸みを帯びたキャプチャーボード。
AVT-C875は「ポータブル」キャプチャーボードと言うだけあって、非常に持ち運びやすいサイズ・重さに作られています。
一般的なスマートフォン(150g前後)よりも軽く、ちゃんとキャプチャーボードとして動作するか少々不安になりますが、予想に反して安定した性能と便利な機能が搭載された製品です。
本体上面には「AVerMedia」「LIVE GAMER PORTABLE」とプリントされています。
中央にあるAVerMediaのロゴマークが印象的ですが、この部分は録画スイッチになっています。
マークの周りはLEDインジケーターになっていて、本体の動作状況にあわせて赤・青に光ります。
映像・音声端子部分は本体背面にまとめられていて、左から「AV IN端子」、「HDMI IN / OUT端子」、「AUDIO IN端子」、「AUDIO OUT端子」となっています。
AV IN端子には、付属品のAV IN コンポーネントAV変換ケーブルやPlayStation3専用ケーブルを接続できます。
このAV IN端子はAVerMedia製品特有のもので、AVT-C875の他にはCV710やGC550などでも同じものが使われています。
HDMI IN / OUT端子には、ゲーム機や映像出力機器などとHDMIケーブルで繋ぎます。AVT-C875はパススルー出力機能を搭載しているため、パススルー用にHDMIケーブルが付属していますが、付属品のHDMIケーブルはかなり短いです(詳しくは付属品の項目で紹介します)。
AUDIO IN端子には、3.5mmミニプラグで接続して外部音声を入力することができますが、HDMI音声と外部音声(AUX)をミックスすることはできません。また、マイクやヘッドセットなどを接続して使用することもできません。
AUDIO OUT端子にはヘッドホンやスピーカーを接続して、音声を出力することができますが、単体録画モード時には使用できません。
本体側面(左側)の接続端子は「mini USB2.0 Type-B端子」のみ。
付属品のUSB2.0ケーブルを使ってパソコンと接続します。データ転送だけでなく給電も兼ねています。単体録画モード時にはモバイルバッテリーも給電に使用できます。
本体側面(右側)には「SDメモリーカードスロット」があります。
ここに、SDカードを挿入することができます。SDカードは、単体録画モード時にストレージとして使用します。
最後に本体前面には、パソコンとSDカードの絵が描かれた「モード切替スイッチ」があります。
このスイッチで「PC録画モード」と「単体録画モード」の切り替えが行えます。
AVT-C875の付属品
下記8点がAVT-C875の付属品です。
- クイックガイド(説明書)
- XSplitプレミアムギフトカード
- ポータブルバッグ
- USB2.0ケーブル(900mm)
- HDMIケーブル(400mm)
- AV IN コンポーネントAV変換ケーブル(125mm)
- PlayStation3専用ケーブル(2000mm)
- 3.5mmオーディオケーブル(1800mm)
クイックガイドはAVT-C875の説明書です。AVerMedia公式サイトのサポートからもダウンロードが可能です。
XSplitプレミアムギフトカードは、配信ソフト「XSplit Broadcaster」を三か月間無料でプレミアム会員として利用できるギフトカードです。
AVT-C875の購入者へのおまけのようなものですが、既にAVT-C875は生産を終了しているため、このギフトカードは利用済みか使用期限が切れているものと思いましょう。
ポータブルバッグはAVT-C875専用のサイズで、持ち運びをする際に使うと良いでしょう。
USB2.0ケーブルは、PCと接続したり単体録画モード時の給電に使用します。
HDMIケーブルはパススルー出力用に付属していますが、400mmと非常に短いので市販の長いHDMIケーブルを購入したほうが良いです。
AV IN コンポーネントAV変換ケーブルは本体のAV IN端子に繋いで、ゲーム機のコンポーネントケーブルを接続することができます。
PlayStation3専用ケーブルも同様に、本体のAV IN端子に繋いでPS3と接続することができます。
PS3の映像はHDCP信号でプロテクトされているので、HDMIケーブルで接続しても映像が出力されません。そのため、PS3専用ケーブルが付属しています。
ちなみに画質は、コンポーネントケーブルで接続したときと同じです。
3.5mmオーディオケーブルは外部音声の入出力時に使用します。
AVT-C875のスペックについて/本体仕様・録画品質をチェックしよう
ここではAVT-C875の各種スペックについて、以下5つに分けながら確認していきましょう。
- PC不要の「単体録画モード」の特徴について
- PC録画モード時の動作環境
- 使用可能なキャプチャーソフト
- 接続可能なゲーム機・端末
- 録画性能
PC不要の「単体録画モード」の特徴について
AVT-C875には、パソコンと接続して録画を行う「PC録画モード」の他に、パソコン不要で録画が行える「単体録画モード」が搭載されています。
単体録画モードでは、多少の画質制限はあるものの、PC録画モードと同じようにゲーム映像の録画が可能です。
PCと接続しないため、録画データの保存にはSDカードを使用します。
上の画像のように、SDカードアダプタを使用してmicroSDカードを使うことも可能です。
本体の給電は、mini USB Type-B端子から行います。
スマホやタブレットを充電する時と同じように給電でき、容量が十分あるモバイルバッテリーも使用可能です。
「PC録画モード」と「単体録画モード」の切り替えは、本体側面にある切り替えスイッチで行えます。
PC録画モードは、本体中央のLEDインジケーター内をゆっくり回るように青く点滅した後、青く常時点灯すると準備完了の状態です。
単体録画モードでは、本体中央のLEDインジケーター内を素早く回るように赤く点滅した後、赤く常時点灯すると準備完了の状態です。
ちなみに「単体録画モード」時の録画設定は、一度「PC録画モード」状態でパソコンと接続し、専用ソフト「AVerMedia PC-Free Utility」で行うことになります。つまり、単体録画モード時でも画質設定をするためのパソコンは必要、ということです。
単体録画モードで使用するSDカードの仕様
単体録画モード時に使用するSDカードは、下記のものを推奨です。
- カード規格:SDHCカード(最大32GBまで)
- スピードクラス:class10 以上の使用を推奨
- フォーマット形式:FAT32(映像データは4GBごとにファイルが分割されます)
32GB以上のSDカードを使用しても、32GBのSDカードとして認識されるので気をつけましょう。SDカードアダプタを使用してmicroSDカードを使うことも可能ですが、こちらも32GBまでとなります。
また、フォーマット形式がFAT32のSDカードでは、映像データは4GBごとにファイルが分割されます。一瞬だけ分割部分の映像・音声が完全に途切れるので、気になる人は非常に気になります。
PC録画モード時の動作環境
- 対応OS:Windows 7 以降(64 / 32ビット)、macOS 10.9 Mavericks 以降
- 接続インターフェイス:USB 2.0 以降のポート
- CPU:Intel Core2 Duo 2.8GHz または AMD Athlon 64×2 Dual Core 3.0GHz 同等以上
- グラフィックボード:DirectX 10.0以降に対応したグラフィックボード
- メモリ:4GB RAM 以上
2013年8月下旬に発売した当時の要求スペックのため、古くてわかりづらいですが、現在のPCであれば特に問題なく動作するでしょう。CPUも極端に古いものでなければ問題ありません。
グラフィックボードの「DirectX 10.0以降」というのも、IntelやAMDのCPU内臓のグラフィック(オンボードグラフィック)で十分です。もちろんグラフィックボードを搭載すれば、より快適に動作します。
なお、「単体録画モード」ではPC不要で録画することが可能なので、ここに記載された動作環境は一切関係なくなります。
使用可能なキャプチャーソフト
- AVerMedia「RECentral」
- OBS Studio
- Xsplit
- StreamEngine
- アマレコTV
- その他サードパーティー製ソフト
AVerMediaのサイトから無料キャプチャーソフト「RECentral」をダウンロードすることができます。Windows・Macともに「RECentral」に対応していますが、Mac版では配信機能やタイムシフト録画機能は搭載されていません。
また、「OBS Studio」や「Xsplit」、「StreamEngine」、「アマレコTV」などにも対応していますが、macOS環境ではAVT-C875はサードパーティ製のキャプチャーソフトには対応していないため気をつけましょう。
接続可能なゲーム機・端末
AVT-C875とHDMI・コンポーネントケーブルで接続可能な機器を、Nintendo・SONY・その他ゲーム機(端末)の順番に表にしてまとめてみました。
実機の使用を前提としているため、互換機や映像・音声コンバーターなどを使用する場合は、正常にキャプチャーができない可能性があります。
ゲーム機(Nintendo) | HDMI | コンポーネント | 備考 |
---|---|---|---|
Nintendo Switch | ◯ | × | テレビモードでの使用必須 |
Nintendo Switch Lite | × | × | テレビ出力自体ができない |
Wii U | ◯ | ◯ | |
Wii | × | ◯ | |
ゲームキューブ | × | △ | コンポーネント接続は型番:DOL-101の本体のみ |
ニンテンドー64 | × | × | |
スーパーファミコン | × | × | |
ファミリーコンピュータ | × | × |
ゲーム機(SONY) | HDMI | コンポーネント | 備考 |
---|---|---|---|
PlayStation 5 | ◯ | × | 設定でHDCPをオフにする |
PlayStation 4 | ◯ | × | 設定でHDCPをオフにする |
PlayStation 3 | △ ※1 | ◯ | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
PlayStation 2 | × | ◯ | |
PlayStation 1 | × | × | PS1ソフトはPS3で使用可能 |
PlayStation Vita TV | △ ※1 | × | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
PlayStation Portable | × | ◯ | PSP2000・3000専用ケーブルが必要 |
その他ゲーム機・端末 | HDMI | コンポーネント | 備考 |
---|---|---|---|
Xbox Series X / S | ◯ | × | |
Xbox One | ◯ | × | |
Xbox 360 | ◯ | ◯ | |
Xbox | × | ◯ | |
iOSデバイス | ◯ | × | Lightning Digial AVアダプタを使用 |
Androidデバイス | △ ※1 | × | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
※1 HDCP信号が含まれているため、HDMI接続での録画は不可。とある分配器を使用すればHDMI接続での録画が可能になる
録画性能
「PC録画モード」と「単体録画モード」ともに、フルHDパススルー出力対応で、ハードウェアエンコード方式(H.264+AAC)にて最大1080p/30fpsでのキャプチャーが可能です。
対応入出力解像度や録画対応解像度・フレームレート・その他仕様などは、「PC録画モード」と「単体録画モード」で異なります。
PC録画モード時の録画品質(RECentral使用時)
RECentral内の設定で解像度・フレームレート・ビットレートなどを細かくカスタマイズすることが可能です。
AVT-C875 PC録画モード時の録画品質(RECentral使用時) | |
---|---|
エンコード方式 | ハードウェアエンコード(H.264+AAC) |
パススルー出力 | フルHD(1920×1080)パススルー対応 |
対応入出力解像度 ※2 | 1920×1080(60・50・30・25・24fps)/ 1680×1050 / 1440×900 / 1360×768 / 1280×1024 / 1280×800 / 1280×768 / 1280×720(60・50fps)/ 1024×768 / 800×600 / 720×576(50fps)/ 720×480 / 640×480 |
対応録画品質 ※2 | 1920×1080(30fps)/ 1680×1050(30fps)/ 1440×900(30fps)/ 1360×768(50fps)/ 1280×1024(30fps)/ 1280×800 / 1280×768 / 1280×720 / 1024×768 / 848×480 / 800×600 / 768×480 / 720×576(50fps)/ 720×480 / 720×240 / 640×480 640×360 / 576×360 |
映像ビットレート | 最大60Mbps |
音声ビットレート | 256・192・128・96・64・32kbps |
録画ファイル形式 | MP4・TS ※3 |
※2 特に記載がなければ最大60fps
※3 TSファイルはAVerMediaのソフト「TS-to-MP4 Utility」でMP4への変換が可能
単体録画モード時の録画品質
単体録画モード時の画質設定は、PC録画モードよりも制限されています。
録画解像度は「1080p」「720p」のどちらかを選択可能ですが、フレームレートの設定項目はないので入力映像から自動で判断して設定されます。
画質設定を変更する方法ですが、一度「PC録画モード状態」でパソコンに接続した状態で専用ソフト「AVerMedia PC-Free Utility」を起動すれば行えます。
AVT-C875 単体録画モード時の録画品質 | |
---|---|
エンコード方式 | ハードウェアエンコード(H.264+AAC) |
パススルー出力 | フルHD(1920×1080)パススルー対応 |
対応入出力解像度 | 1920×1080(60・30fps)/ 1280×720(60・30fps) / 720×576(60・30fps)/ 720×480(60・30fps) |
対応録画品質 | 1920×1080(30fps)/ 1280×720(60・30fps)/ 720×576(60・30fps)/ 720×480(60・30fps) |
映像ビットレート | 16・12・8・4Mbps |
音声ビットレート | 128kbps |
録画ファイル形式 | TS ※4 |
※4 TSファイルはAVerMediaのソフト「TS-to-MP4 Utility」でMP4への変換が可能
AVT-C875の特徴についてまとめると……
- 2013年に発売したAVerMedia製の外付け型キャプチャーボード
- PC外付けの「PC録画モード」とPC不要の「単体録画モード」を搭載
- 映像出力機器とHDMI・コンポーネント・PS3専用ケーブルなどで接続が可能
- フルHDパススルー出力対応で、最大1080p/30fps(720pは60fpsまで可)の録画が可能
AVT-C875はキャプチャーボードとしては古いモデルになりますが、ゲーム実況・配信を行える性能はとりあえず備わっています。
欲を言えば、フルHD映像を録画するにはフレームレートは60fpsは欲しいところですが、配信を行う際は、フルHDよりも720pのほうが都合が良いこともあります。HDMIだけでなくコンポーネント接続も可能なので、使う人の収録環境や好みに左右される部分が大きいと思います。
とはいえ、PC接続でもPC不要でも録画ができる機能は間違いなく便利ですので、それほど映像の画質にはこだわらない人や、屋内・屋外問わずキャプチャーボードを持ち運びたい人などには、AVT-C875はピッタリと言えるでしょう。
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