今回は、Elgatoのキャプチャーボード「Game Capture HD60 S+」の仕様・性能について、製品外箱や公式サイトなどに記載された情報をもとに、できるだけわかりやすくご紹介します。
「高画質4K・HDR映像で遊びながらゲーム実況・配信をしたい！」
「USB接続の外付け型で、手軽に4K＆HDRキャプチャーを体験してみたい！」
「古くなってきたGame Capture HD60 Sを買い換えたい！」
……という方々に、Game Capture HD60 S+というキャプチャーボードをおすすめします。
HD60 S+は、USB3.0による外付け型キャプチャーボードながら、4KやHDR映像のパススルー＆キャプチャーが可能な製品です。
4K・HDR映像を扱えるスペックのPCが必要になりますが、高画質映像で遊びつつもしっかり録画・配信も行いたいという実況者や配信者におすすめです。
▼【レビュー記事もどうぞ】実際にHD60 S+を購入して使ってみました！
Elgato「Game Capture HD60 S+」とは？特徴＆使い方について
| 製品名 | Game Capture HD60 S+（通称：HD60 S+） |
| パソコンとの接続方法 | 外付け型・USB3.0（USB3.2 Gen1） |
| エンコード方式 | ソフトウェアエンコード（AVC/H.264、HEVC/H.265 HDR） |
| パススルー出力 | 4K（3840×2160）・HDRパススルー対応 |
| 最大録画品質 | 2160p/30fps、1080p/60fps・HDR |
| HDR10録画 | Windowsのみ対応（macOSでは不可） |
| 映像ビットレート | 最大60Mbps |
| 接続可能なビデオ端子 | HDMI |
| 対応OS | Windows 10・11（64ビット版） / macOS 10.12 Sierra 以降 |
| 発売日 | 2019年11月1日 |
| 備考 | プラグアンドプレイ対応 |
「Game Capture HD60 S+」は、アメリカのCORSAIR（コルセア）傘下のブランドで、クリエイター向けの様々なハードウェア＆ソフトウェアを開発・販売しているドイツ創業のメーカー・Elgatoによるキャプチャーボードです。
4K・HDRパススルー＆HDMI 2.0接続による2160p/30fpsや1080p/60fps・HDRでの高画質録画が可能で、ドライバーのインストール不要（プラグアンドプレイ対応）の製品です。つまり、誰でも簡単に高品質なゲーム実況・配信を即座に行えるように作られています。
PS5・PS4 Pro・Nintendo Switchなどのゲーム実況・ゲーム配信にちょうど良いスペックですね。
4K・HDR映像を扱うためにPC要求スペックはやや高めですが、前モデルの「HD60 S」よりも高画質で安定した録画・配信を行えるようにパワーアップしています。
AmazonやYahoo!ショッピングなどのネット通販サイトでは、23000円前後で販売中です。
Game Capture HD60 S+ 本体の外観＆接続端子をチェックしよう
- 大きさ：幅112mm×奥行75mm×高さ19mm
- 重さ：約115g
手のひらに収まるサイズの、持ち運びも楽々行えるキャプチャーボードです。
黒色のシンプルなデザインで、前モデルのHD60やHD60 Sと同様に、Game Capture HD60 S+も充電式カイロのような丸みのあるデザインで作られています。
外観・大きさ・接続端子の配置も変わっていませんが、他のHD60シリーズと比べて9gほど重くなっています。
使用感は全く変わらないので、HD60やHD60 Sから買い換えたとしても違和感なく収録作業に移れます。
本体上面を見てみると、「Elgatoロゴ」と「HD60 S+」とプリントされています。
また、本体中央には細いラインのようなものがあります。この部分はLEDランプになっていて、本体の状態に合わせて白・赤に光ります。
このあたりの仕様は「HD60」や「HD60 S」の時から変わっていませんね。
本体側面（左側）の接続端子は、「アナログオーディオ IN端子」や「HDMI IN端子」、「USB3.0 Type-C端子」となっています。
アナログオーディオ IN端子は、ライン入力でオーディオ機器などと接続するものです。3.5mmステレオミニプラグを繋ぐことができますが、マイクには対応していません。
HDMI IN端子には、HDMI出力を備えたゲーム機や端末とHDMIケーブルで繋ぎます。
USB3.0 Type-C端子は、電源供給と映像データ転送のためのもので、付属品の「USB3.0ケーブル」を使ってパソコンと接続します。
本体側面（右側）の接続端子は、「HDMI OUT端子」のみ。
HDMI OUT端子には、付属品の「HDMIケーブル」で映像出力先となるテレビ・モニターと繋ぎます。
接続端子の配置が入力・出力で分かれているので、初心者でも接続しやすいデザインとなっています。このあたりのデザインもHD60シリーズで一貫しています。
Game Capture HD60 S+の付属品
下記4点がElgato Game Capture HD60 S+の付属品です。
- USB 3.0 ケーブル
- HDMI 2.0 ケーブル
- Elgatoロゴのステッカー
- セーフティガイド
すぐに録画・配信が始められるように、必要最低限のケーブルは付属品として揃っています。
USB3.0ケーブルは、PCと接続して、給電や映像データ転送に使用します。
HDMIケーブルは、パススルー出力用に付属しています。
USB3.0ケーブルとHDMIケーブルは、市販のものでも代用可能です。
Elgatoステッカーも付属していますが、貼る場所や機会がなくてそのままにしてしまいがちです。
セーフティガイドは、使用上の注意事項をまとめたものです。
ほとんどのElgato製キャプチャーデバイスに付属してきますが、読まなくても全く問題ありません。そもそも日本語での案内がありません。
Game Capture HD60 S+のスペックについて／本体仕様・録画品質をチェックしよう
ここではGame Capture HD60 S+の各種スペックと注意点などについて、以下5つに分けながら確認していきましょう。
- 動作環境
- 使用可能なキャプチャーソフト
- 接続可能なゲーム機・端末
- 録画性能
- 4K Capture Utilityで2160p/30fps映像をキャプチャーする際の注意点
動作環境
【Windows】
- 対応OS：Windows 10・11（64ビット版）
- 接続インターフェイス：USB 3.0 以降のポート
- CPU：第4世代 Intel Core i5-4xxx クアッドコア 以上
- グラフィックボード：NVIDIA GeForce GTX 10xx 以降
- メモリ：4GB RAM 以上
【macOS】
- 対応OS：macOS 10.12 Sierra 以降
- 接続インターフェイス：USB 3.0 以降のポート
- CPU：第4世代 Intel Core i5-4xxx クアッドコア 以上
- グラフィックボード：AMD / NVIDIA
- メモリ：4GB RAM 以上
※Elgato製品ページのシステム要件では『第6世代 Intel Core i5 CPU（i5-6xxxまたは同等）』となっています
HD60 S+の要求スペックは、HD60 Sの時と比べるとCPU性能はそれほど変わらずにグラフィックボード性能が高くなっています。
4K・HDR映像のキャプチャーを可能にするためには、CPUよりもグラフィックボードの性能が求められるということですね。
というのも、4K（3840×2160）の総画素数は約800万で、フルHD（1920×1080）の総画素数約200万と比べてちょうど4倍になります。単純に4K映像を描画できるパワーを持ったグラフィックボードが必要、と解釈すればOKです。
ただし、動作環境ピッタリのPCスペックではゲーム実況・配信時に動作が不安定になる恐れがあるため、性能に余裕のあるCPU・グラフィックボードを搭載しておくと良いでしょう。
役に立つかわかりませんが、私のPCで問題なく動作した時の構成を書いておきます。
- OS：Windows 10（64ビット版）
- 接続インターフェイス：USB 3.0ポート
- CPU：Intel Core i5-10400（6コア・12スレッド）
- グラフィックボード：NVIDIA GeForce GTX 1050Ti
- メモリ：16GB RAM（8GB RAM×2）
使用可能なキャプチャーソフト
- Elgato「4K Capture Utility」（Windowsのみ）
- Elgato「Game Capture HD」（Mac）
- OBS Studio
- Xsplit
- その他サードパーティー製ソフト
Elgatoのサイトから「4K Capture Utility」「Game Capture HD」というキャプチャーソフトを無料でダウンロードすることができます。
Windowsの場合は「4K Capture Utility（配信非対応）」を、Macの場合は「Game Capture」に対応しています。
また、「OBS Studio」や「Xsplit」などのサードパーティー製キャプチャーソフトにも対応しています。
配信に対応していない「4K Capture Utility」の代わりに、「OBS Studio」を使用すればゲーム配信が行えます。
それぞれのソフトに機能の違いはありますが、基本的な録画品質には大きな差はないため、自分の使いやすいキャプチャーソフトを選べばOKです。
ドライバーのインストールも不要ですし、Elgato製のキャプチャーソフトは使用せずにOBS Studio一択でも全く問題ありません。
接続可能なゲーム機・端末
Game Capture HD60 S+とHDMIケーブルで接続可能な機器を、Nintendo・SONY・その他ゲーム機（端末）ごとに表にまとめてみました。
なお、実機の使用を前提としているため、互換機や映像・音声コンバーターなどを使用する場合は、正常にキャプチャーできない可能性があります。
| ゲーム機（Nintendo） | HDMI | 備考 |
|---|---|---|
| Nintendo Switch | ◯ | テレビモードでの使用必須 |
| Nintendo Switch Lite | × | テレビ出力自体ができない |
| Wii U | ◯ | |
| Wii | × | WiiソフトはWii Uで使用可能 |
| ゲームキューブ | × | |
| ニンテンドー64 | × | |
| スーパーファミコン | × | |
| ファミリーコンピュータ | × |
| ゲーム機（SONY） | HDMI | 備考 |
|---|---|---|
| PlayStation 5 | ◯ | 設定でHDCPをオフにする |
| PlayStation 4 | ◯ | 設定でHDCPをオフにする |
| PlayStation 3 | △ ※1 | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
| PlayStation 2 | × | |
| PlayStation 1 | × | |
| PlayStation Vita TV | △ ※1 | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
| PlayStation Portable | × |
| その他ゲーム機・端末 | HDMI | 備考 |
|---|---|---|
| Xbox Series X / S | ◯ | |
| Xbox One | ◯ | |
| Xbox 360 | ◯ | |
| Xbox | × | |
| iOSデバイス | ◯ | Lightning Digial AVアダプタを使用 |
| Androidデバイス | △ ※1 | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
※1 HDCP信号が含まれているため、HDMI接続での録画は不可。とある分配器を使用すればHDMI接続での録画が可能になる
録画性能
4K・HDRパススルー出力対応で、ソフトウェアエンコード方式にて最大2160p/30fpsでのキャプチャーが可能です。HDR10録画の場合は、解像度・フレームレートは最大1080p/60fpsになります。
なお、現時点でmacOSは4K・HDRパススルー出力は可能ですが、HDR10録画には対応していません。
外付け型キャプチャーボードでありながら、PS5・PS4 Proでは当たり前となった4KやHDRなどの高画質映像を扱うことが可能です。
また、ゲームは4K映像をパススルー出力させて遊びつつ、配信は1080p/60fpsで行うといった使い方にも向いています。
| Game Capture HD60 S+の録画品質（キャプチャーソフト4K Capture Utility使用時） | |
|---|---|
| エンコード方式 | ソフトウェアエンコード（AVC/H.264、HEVC/H.265 HDR） |
| パススルー出力 | 4K（3840×2160）・HDRパススルー対応 |
| 対応入出力解像度 | 3840×2160 / 1920×1080 / 1280×720 / 720×576 / 720×480 ※2 |
| 対応録画品質 | 2160p（30fps）/ 1080p（60・30fps）/ 1080i / 720p（60fps）/ 576p / 480p ※2 |
| HDR10録画 | 1080p（60fps）に対応 |
| 映像ビットレート | 最大60Mbps |
| 音声ビットレート | 固定320kbps |
| 動画ファイル形式 | MP4 |
※2 640×480は非対応
4K Capture Utilityで2160p/30fps映像をキャプチャーする際の注意点
4K Capture Utilityを使用していて、私も勘違いしていたHD60 S+の仕様についてご紹介しておきます。
Elgatoによると、Game Capture HD60 S+ではUSB3.0（=USB3.2 Gen1）帯域幅の関係で、そもそもパソコンに2160p/60fps映像を送ることができない、としています。
もし、Game Capture HD60 S+への入力映像が2160p/60fps・HDRの場合は、パススルー機能でテレビ・モニターへは2160p/60fps・HDRで出力されますが、パソコンへはUSBケーブルを通して1080p/60fps・HDRに変換されて送られます。
つまり、4K Capture Utilityの画質設定で2160p/30fpsにしても、2160p/30fpsでキャプチャーされないので気をつけましょう。（ちなみに、この場合は1080p/30fpsでキャプチャーされます）。
2160p/30fpsでキャプチャーをしたい場合は、あらかじめ入力映像も2160p/30fpsにする必要があります。そうすれば、パススルー機能でテレビ・モニターへ2160p/30fpsで出力され、キャプチャーも2160p/30fpsになります。
ちなみに余談ですが、上位モデル「Game Capture 4K60 S+」ではUSB3.0接続で2160p/60fps・HDRの録画が可能です。
これは、4K60 S+が「ハードウェアエンコード方式」かつ「スタンドアロン（単体録画）モード」搭載の非常にパワーのある製品で、USB3.0接続でもエンコード済みの2160p/60fps・HDR映像なら転送可能なのかもしれません。
そう考えると、HD60 S+が2160p/60fps・HDR映像をPCに送れないのは「ソフトウェアエンコード方式」によるもので、無圧縮大容量映像データはUSB3.0では転送できないということになりますね。
Game Capture HD60 S+の特徴についてまとめると……
- 2019年に発売したElgato製の外付け型キャプチャーボード
- PCとUSB3.0ケーブルで、ゲーム機とHDMIケーブルで接続が可能
- 4K・HDRパススルー出力が可能で、最大2160p/30fpsまたは1080p/60fps・HDRでの録画が可能
- HDR10録画は現時点ではWindowsのみ対応
Game Capture HD60 S+は、4K・HDR映像を完璧にキャプチャーできるスペックとは言い切れませんが、外付け型で手軽に2160p/30fpsや1080p/60fps・HDRでの録画ができるのは素晴らしいと思います。
4K・HDR映像をパススルーさせてゲーム実況・配信を行いたいという人や、試しに4K・HDR映像でのキャプチャーはどういったものかを体験したい人には、HD60 S+という選択肢もアリかと思います。
ですが、人によっては2160p/30fpsや1080p/60fps・HDRという録画性能が中途半端に感じる方もいるかと思います。そもそも4K・HDR映像をキャプチャーする必要がない場合は、前モデルのHD60 Sでも充分ですし……。
それでも2160p/60fps・HDRでの完璧なキャプチャーを目指したい方は、PC内蔵型の「4K60 Pro」や、PC外付け型かつ単体録画が可能な「4K60 S+」がおすすめです。
▼【レビュー記事もどうぞ】実際にHD60 S+を購入して使ってみました！
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