今回は、Elgatoのキャプチャーボード「Game Capture 4K60 Pro MK.2」の仕様・性能について、製品外箱や公式サイトなどに記載された情報をもとに、できるだけわかりやすくご紹介します。
HDMI接続可能なゲーム機や携帯端末でゲーム実況・ゲーム配信をするならば、この製品を搭載しておけば出来ないことはないくらいに、充実した機能と性能が詰まっているキャプチャーボードです。
デスクトップパソコンに内蔵させて使用したり、値段が3万円ほどと高いため、初心者には扱いづらい製品という印象が強いかもしれませんが……収録環境をコンパクトにまとめつつ、高い安定性と高品質なゲーム実況&ゲーム配信を行いたいという人に最適なキャプチャーボードです。
ちなみに「4K60 Pro」自体は2種類存在し、同じ「4K60 Pro」という名称ですが改良型(4K60 Pro MK.2)と旧型(4K60 Pro)では仕様・性能に若干の差があります。
この記事では4K60 Pro MK.2を中心に話を進めつつ、旧型4K60 Proとの違いもわかりやすくご紹介していきますが、これから買うなら「4K60 Pro MK.2」のほうが圧倒的におすすめです。
▼【レビュー記事もどうぞ】実際に4K60 Pro MK.2を購入して使ってみました!
Elgato Game Capture 4K60 Pro MK.2 & Game Capture 4K60 Pro(旧型4K60 Pro)とは?
「Game Capture 4K60 Pro MK.2」&「Game Capture 4K60 Pro」は、アメリカのCORSAIR(コルセア)傘下のブランドであり、クリエイター向けの様々なハードウェア&ソフトウェアを開発・販売しているドイツ創業のメーカー・Elgatoによるキャプチャーボードです。
PCI Express接続による高い動作安定性を活かした、4K・HDR・高フレームレートパススルー&HDMI2.0接続で最高2160p/60fpsのキャプチャーに対応しているPC内蔵型キャプチャーボードです。
※旧型4K60 Proにも一部HDRパススルー対応モデルが存在します
内蔵型キャプチャーボードの中では最高峰の部類に入る製品ですが、CPU・グラフィックボードなども高性能なものが必要になります。
PC自作の知識・技術がない初心者がいきなり導入するにはハードルが高く感じますが、高品質かつ本格的なゲーム実況・配信を求める人には最適な製品です。
改良型の4K60 Pro MK.2は、AmazonやYahoo!ショッピングなどのネット通販サイトでは3万円前後で販売されています。
ちなみに、生産が終了した旧型4K60 Proも中古品で販売されているようですが、今から旧型4K60 Proをあえて買うメリットはありません(この記事で詳しく後述します)。
Game Capture 4K60 Pro MK.2 & 旧型4K60 Pro 本体の外観&接続端子をチェックしよう
「黒くてシンプルなデザイン」はElgato製キャプチャーボード共通で、この4K60 Pro MK.2や旧型4K60 Proでも見られます。非常にシンプルな作りです。
【大きさ・重さ】
- 4K60 Pro MK.2:幅121mm×奥行56mm×高さ19mm、約105g
- 旧4K60 Pro:幅178mm×奥行121mm×高さ21mm、約270g
旧型4K60 Proのほうが、グラフィックボードのように幅広かつ巨大な本体で、かなりの存在感があります。
対して4K60 Pro MK.2は、ロープロファイルサイズの比較的小さいキャプチャーボードです。
4K60 Pro MK.2にはロープロファイルブラケットが付属品として付いてくるため、これを使用してロープロファイル対応も可能です。
接続端子はHDMI(IN / OUT)端子のみとなっています。
HDMI IN端子には、HDMI出力を備えたゲーム機や端末とHDMIケーブルで繋ぎ、HDMI OUT端子には、付属品のHDMIケーブルで映像出力先となるテレビ・モニターと繋ぎます。
本体はPro MK.2も旧型4K60 Proも基板保護のためのカバーで覆われていますが、旧4K60 Proは両面なのに対して4K60 Pro MK.2は片面のみとなっています。基板に直接触れないように気をつけましょう。
本体上面には、どちらも「Elgatoロゴ」「4K60 PRO」とプリントされていて、PCI Expressスロットに接続するための切り欠きも確認できます。
PCI Express 2.0 x4のため、x4/x8/x16スロットに接続が可能です。
余計な端子や不要なものが一切存在せず簡素な作りに見えますが、性能や機能はしっかりとしています。
Game Capture 4K60 Pro MK.2 & 旧型4K60 Proの付属品
下記が4K60 Pro MK.2と旧型4K60 Proの付属品です。
- HDMIケーブル
- ロープロファイルブラケット(4K60 Pro MK.2にのみ付属)
- Elgatoステッカー
- セーフティガイド
HDMIケーブルがパススルー出力用に1本付属しています。もちろん市販のものでも代用可能ですが、4K・HDR・高フレームレート映像の転送に対応しているかHDMIケーブルのバージョンを忘れずに確認しましょう。
ロープロファイルブラケットが4K60 Pro MK.2にのみ付属しています。
4K60 Pro MK.2はスリムPCにも搭載できるサイズのキャプチャーボードなので、使用するPCのサイズに合わせてブラケットを交換して搭載できます。
Elgatoステッカーが付属しています。他のElgato製キャプチャーボードに付属している紙製ステッカーとは違って高級感があります。裏側には両面テープが貼ってあるので、色々な場所に気兼ねなく貼れます。
セーフティガイドは使用上の注意事項をまとめたものが入っています。
ほとんどのElgato製キャプチャーボードに付属してきますが、無くても全く問題ありません。そもそも日本語での案内がありません。
旧型4K60 ProにはHDRパススルー出力「対応」と「非対応」のモデルがあるので注意!
かなりややこしい話になりますが、旧型4K60 ProにはHDRパススルー出力「対応」と「非対応」のモデルが存在します。つまり、旧型4K60 Proには2種類あるということです。
何故このように面倒なことになっているかというと、HDRパススルー非対応の旧型4K60 Pro向けのHDRアップグレードプログラムというものが、2019年1月31日まで行われていたためです。
このプログラムの内容は、HDRパススルー出力非対応の旧型4K60 Proの本体を、HDRパススルー出力対応の本体と無償交換できるものでした。
「4K Capture Utility Ver 1.2」をリリースする際に、旧型4K60 ProのHDRパススルー機能も有効となり、それにともなってElgatoは「HDRパススルーに対応した4K60 Pro」も密かに販売していました。
しかし、市場にはHDRパススルー「対応モデル」と「非対応モデル」が同時に発売されていることになるため、非対応モデルの本体をまるごと無償交換することで対処していました。
無償交換プログラム終了日の2019年1月31日までに、HDRパススルー非対応の旧型4K60 Proを交換していれば何も問題もありませんが、プログラム終了後も無償交換を利用していない旧型4K60 Proが、現在でも新品・中古品で稀に販売されていることがあります。
HDRパススルーに「対応・非対応」かの判別方法は、Elgatoの無料キャプチャーソフト「4K Capture Utility Ver 1.2」から設定メニューを開き、デバイスタブの下部に「HDRを有効にする」というチェックボックスが表示されればHDR対応モデルになります。
そのため、本体外観だけで見分けるのはおそらく困難ですので、中古品などでうっかり古いタイプを購入しないように気をつけるべきですが……。
こうして考えてみると、わざわざHDRパススルー対応の旧型4K60 Proを探すよりは、素直に4K・HDRパススルーに対応した4K60 Pro MK.2を購入するほうが手っ取り早いかと思います。
Game Capture 4K60 Pro MK.2 & 旧型4K60 Proのスペック/本体仕様・録画品質について
ここではGame Capture 4K60 Pro MK.2と旧型4K60 Proの各種スペックについて、以下4つに分けながら確認していきましょう。
- 動作環境
- 使用可能なキャプチャーソフト
- 接続可能なゲーム機・端末
- 録画性能
動作環境
- 対応OS:Windows 10・11(64ビット)
- 接続インターフェイス:PCI Express 2.0 x4/x8/x16スロット
- CPU:第6世代 Intel Core i7-6xxx / AMD Ryzen 7 以上
- グラフィックボード:NVIDIA GeForce GTX 10xx 以上 / AMD Radeon RX Vega 以上(RadeonはHDR非対応)
※なお、HDR録画が可能なグラフィックボードはNVIDIA GeForce GTX 10xx(GTX 1050) 以上のもので、AMD Radeon RX Vegaやその他のグラフィックボードでは、SDRや4K30fpsでのキャプチャーになります(括弧内はキャプチャー可能な最大録画品質です)。
- NVIDIA GeForce GTX 950 以上(4K/60fps SDR)
- AMD Radeon RX Vega 以上(4K/30fps SDR・1080p/60fps SDR)
- AMD Radeon RX 480 以上(4K/30fps SDR・1080p/60fps SDR)
- Intel HD Graphics 530 以上(4K/30fps SDR・1080p/60fps SDR)
4K60 Pro MK.2・旧型4K60 Proともに動作環境は変わりませんが、同じElgato製の内蔵型キャプチャーボード「Game Capture HD60 Pro」と比べると、要求スペックが格段に上がっていることがわかります。
4K・HDRの高画質映像を扱うとなると、やはり高性能CPU・グラフィックボードも必須になるが、これはあくまで動作環境なので、快適な録画・配信を行うにはこれより余裕のあるスペックのものが望ましいです。
使用可能なキャプチャーソフト
- Elgato「4K Capture Utility」
- OBS Studio
- Xsplit
- その他サードパーティー製ソフト
Elgatoのサイトから4K Capture Utilityというキャプチャーソフトを無料でダウンロードすることができます。
しかし、4K Capture Utilityは録画には対応していますが配信機能はないため、ゲーム配信をする際はOBS StudioやXsplitなどのサードパーティー製ソフトを使用しましょう。
接続可能なゲーム機・端末
Game Capture 4K60 Pro MK.2や旧型4K60 ProとHDMIケーブルで接続可能な機器を、Nintendo・SONY・その他ゲーム機(端末)ごとに表にまとめてみました。
なお、実機の使用を前提としているため、互換機や映像・音声コンバーターなどを使用する場合は、正常にキャプチャーできない可能性があります。
ゲーム機(Nintendo) | HDMI | 備考 |
---|---|---|
Nintendo Switch | ◯ | テレビモードでの使用必須 |
Nintendo Switch Lite | × | テレビ出力自体ができない |
Wii U | ◯ | |
Wii | × | WiiソフトはWii Uで使用可能 |
ゲームキューブ | × | |
ニンテンドー64 | × | |
スーパーファミコン | × | |
ファミリーコンピュータ | × |
ゲーム機(SONY) | HDMI | 備考 |
---|---|---|
PlayStation 5 | ◯ | 設定でHDCPをオフにする |
PlayStation 4 | ◯ | 設定でHDCPをオフにする |
PlayStation 3 | △ ※1 | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
PlayStation 2 | × | |
PlayStation 1 | × | |
PlayStation Vita TV | △ ※1 | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
PlayStation Portable | × |
その他ゲーム機・端末 | HDMI | 備考 |
---|---|---|
Xbox Series X / S | ◯ | |
Xbox One | ◯ | |
Xbox 360 | ◯ | |
Xbox | × | |
iOSデバイス | ◯ | Lightning Digial AVアダプタを使用 |
Androidデバイス | △ ※1 | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
※1 HDCP信号が含まれているため、HDMI接続での録画は不可。とある分配器を使用すればHDMI接続での録画が可能になる
録画性能
4K60 Pro MK.2 & 旧型4K60 Proは、どちらも4K・高フレームレートのパススルー出力対応で、ソフトウェアエンコード方式にて最大2160p/60fps・1440p/144fps・1080p/240fpsでのキャプチャーが可能です。
加えて、4K60 Pro MK.2ではHDRパススルー出力&録画対応で、一部の旧型4K60 ProではHDRパススルー出力対応です。
基本的な録画性能は共通している部分も多いですが、やはりHDRに関する機能では4K60 Pro MK.2のほうが優れています。
Game Capture 4K60 Pro MK.2 & 旧型4K60Proの録画品質(4K Capture Utility使用時) | ||
---|---|---|
製品名 | Game Capture 4K60 Pro MK.2 | Game Capture 4K60 Pro |
エンコード方式 | ソフトウェアエンコード(AVC/H.264、HEVC/H.265 HDR) | ソフトウェアエンコード(AVC/H.264) |
パススルー出力 | 4K(3840×2160)・HDR・240fpsパススルー対応 | 4K(3840×2160)・240fpsパススルー対応(HDR対応モデルもあり) |
対応入出力解像度 | 3840×2160 / 2560×1440 / 1920×1080 / 1280×720 / 720×576 / 720×480 ※2 | |
対応録画品質 | 2160p / 1440p / 1080p / 1080i / 720p / 576p / 576i / 480p ※2 | |
HDR10録画 | 対応 | 非対応 |
高フレームレート録画 | 240fps・144fps対応 | |
映像ビットレート | 最大140Mbps | |
音声ビットレート | 固定320kbps | |
動画ファイル形式 | MP4 |
※2 640×480は非対応
Game Capture 4K60 Pro MK.2 & 旧型4K60 Proについてまとめると……
- 2160p/60fps・高フレームレート録画に対応したElgato製の内蔵型キャプチャーボード
- さらに4K60 Pro MK.2はHDR映像の録画・パススルーにも対応している
- パソコンとPCI Express接続で、ゲーム機や携帯端末とHDMIケーブルで接続が可能
- 4K60 Pro MK.2と旧型4K60 Proで、できることに若干の差が存在する
- 3万円ほどと値段は高いが、動作安定性や録画性能も高い
- 初心者・上級者・ゲーマーなど、ゲーム実況や配信に「4K60 Pro MK.2」はおすすめ
4K映像を扱える内蔵型キャプチャーボードとしては、これ以上のものはないくらいに機能・性能が優秀な製品です。
4K60 Pro MK.2と旧型4K60 Proでは性能差が少し存在するものの、どちらも4K/60fpsの映像入出力が可能です。
これから購入をするならば、わざわざ旧型の4K60 Proを選択するメリットはほとんどないため、4K・HDR・高フレームレートパススルー出力&キャプチャー対応の「4K60 Pro MK.2」の一択だと思います。
家庭用ゲームやPCゲームなどを、できるかぎり高画質・高フレームレートで遊びつつ、録画・配信も安定して行いたいという人に最適なキャプチャーボードです。
▼【レビュー記事もどうぞ】実際に4K60 Pro MK.2を購入して使ってみました!
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