今回は、AVerMediaのキャプチャーボード「ER330(EzRecorder 330)」の仕様・性能について、製品外箱や公式サイトなどに記載された情報をもとに、できるだけわかりやすくご紹介します。
ER330(EzRecorder 330)は、「ER130(EzRecorder 130)」や「AVT-C285」などに機能を追加して改良したような製品で、PC不要で録画だけでなく配信もできてしまうという、非常に便利で珍しいキャプチャーボードです。
4Kパススルー出力&最大1080p/60fpsキャプチャーという、ゲーム配信での使用を前提に作られているかのような性能で、初心者でも上級者でも簡単に扱えます。
さらに、HDMI・コンポジット出力対応のゲーム機に接続できるため、最新ゲームからレトロゲームまで幅広く録画・配信できる、1台あると何かと便利なキャプチャーボードです。
▼【レビュー記事もどうぞ】実際にER330(ExRecorder 330)を購入して使ってみました!
AVerMedia「ER330(EzRecorder 330)」とは?特徴&使い方について
製品名 | EzRecorder 330(通称:ER330) |
パソコンとの接続方法 | PC不要・単体録画(スタンドアロン) |
エンコード方式 | ハードウェアエンコード(H.264・H.265) |
パススルー出力 | 4K(3840×2160)パススルー対応 |
最大録画品質 | 1080p/60fps |
映像ビットレート | 最大40Mbps |
接続可能なビデオ端子 | HDMI・コンポジット |
対応ストレージ | microSDXCカード(512GBまで)、USB HDD/SSD(4TBまで)、NAS |
発売日 | 2021年2月5日 |
備考 | 1ファイル最大10時間まで録画可能(ファームウェアver 1.1.8.9以降に要アップデート) |
「ER330」は、様々なデジタル機器の設計・製造をしている台湾の企業・AVerMedia(アバーメディア)によるキャプチャーボードです。
PC不要ながら4K映像のパススルー&HDMI・コンポジット接続による最大1080p/60fpsの録画・配信が可能で、これからゲーム実況&ゲーム配信を始めてみたいという初心者の方でも簡単なリモコン操作で扱えるように作られています。
2021年2月に発売されたばかりなので、機能・性能もアップデートの余地があり、既存のキャプチャーボードに比べるとまだまだ利用者の少ない製品です。
AmazonやYahoo!ショッピングなどのネット通販サイトでは、20000円前後で販売中です。
ER330 本体の外観&接続端子をチェックしよう
- 大きさ:幅135.0mm×奥行71.2mm×高さ28.0mm
- 重さ:約150.0g
本体上面に「AVerMedia&ロゴ」「EzRecorder 330」がプリントされている、ほぼ黒一色の角の丸い箱型のキャプチャーボード。
一般的なスマートフォン(画像はGoogle Pixel 3)と比べて、少し小さいサイズです。
PCと接続せずに使用する製品なので、これくらい小型だと持ち運びもしやすくて助かりますね。
本体前面は「電源・録画ボタン」と「ヘッドセット端子」のみ。
電源・録画ボタンは状態ランプにもなっていて、本体の状態に合わせて青・赤・オレンジ・緑に光ります。
ER130やAVT-C285の時には前面部分に赤外線受光部がありましたが、ER330ではそれらしきものが見当たらないため、電源・録画ボタンの部分が受光部にもなっているのかもしれません。
ヘッドセット端子には、3.5mm4極ミニプラグに対応したヘッドセット、マイク、イヤホンなどを接続します。
本体側面は「USB2.0端子」と「microSDカードスロット」のみ。
USB2.0端子には、USB 2.0以降のHDD・SSDを接続します。
microSDカードスロットには、microSDXCカードを挿入します。SDカードは単体録画モード時のストレージとして使用します。
※対応ストレージ・microSDカードの仕様については「録画性能」の項目でご覧ください
本体背面は左から「IR IN端子」「AV IN端子」「HDMI(OUT / IN)端子」「LAN端子」「DC IN(電源入力)端子」となっています。
IR IN端子には、付属のIRブラスターケーブルを接続します。
……が、このIR IN端子を録画・配信に使用することはありません。
ちなみに、クイックガイドにも説明が全く書かれていないため、謎の端子&ケーブルと化しています。
AV IN端子には、付属のAV IN – コンポジット変換ケーブルを接続します。スーパーファミコンやPS1など、コンポジット出力が可能な機器と繋ぐ際に役立ちます。
HDMI端子には、IN(入力)端子側にゲーム機や携帯端末などの映像出力機器を、OUT(出力)端子側にテレビ・モニターなどへパススルーさせるために、HDMIケーブルで接続します。
LAN端子には、YouTube・Twitch・Facebookのライブ配信やNAS録画を行う際に、ネットワーク機器とLANケーブルで接続します。
DC IN端子には、付属のACアダプターを接続します。
小型サイズのわりに接続端子が豊富で、多機能なことがわかる外観ですね。
ゲーム機のHDMI・コンポジットケーブルやLANケーブルなどは繋ぎっぱなしになることが多いからか、全て背面側にまとめられています。収録環境がケーブルでごちゃごちゃせずに、スッキリとまとめられるので良いですね。
ER330の付属品
下記7点がER330の付属品です。
- クイックガイド(説明書)
- HDMI 2.0(ハイスピード)ケーブル
- AV IN – コンポジット変換ケーブル
- IRブラスターケーブル
- リモコン
- 単4形乾電池 2本
- ACアダプター(DC 12V, 1.5A)
クイックガイドはER330の説明書です。AVerMediaのサイトのサポートからもダウンロードが可能です。
HDMI 2.0ケーブルは、4K映像対応のHDMIケーブルです。
長さ1500mmのハイスピードHDMIケーブルが、パススルー出力用に1本付属しています。
AV IN – コンポジット変換ケーブルは、スーパーファミコンやPS1などのAVケーブル(赤白黄のRCA端子)を接続する変換ケーブルです。
IRブラスターケーブルは、赤外線を増幅したり、テレビなどの機器へ赤外線を送信して制御するためのケーブルで、本体のIR IN端子に接続して使用します。
が、一般的なゲーム実況・配信で使う機会はほぼ0に近いです。
リモコンは、ER330を操作する際に使用します。
リモコンが無いと一切何もできなくなるため、失くさないように気をつけましょう。
単4形乾電池2本は、リモコンに入れて使用します。
ACアダプターは、本体のDC IN端子に接続して給電します。
ER330のスペックについて/本体仕様・録画品質をチェックしよう
ここではER330の各種スペックについて、以下5つに分けながら確認していきましょう。
- 接続可能なゲーム機・端末
- 録画・配信性能
- 2種類のパススルー出力モードについての注意点
- パススルーモードによる出力映像・録画画質の違いについて
- SDカード・USBストレージの仕様について
接続可能なゲーム機・端末
ER330とHDMI・コンポジットケーブルで接続可能な機器を、Nintendo・SONY・その他ゲーム機(端末)の順番に表にしてまとめてみました。
実機の使用を前提としているため、互換機や映像・音声コンバーターなどを使用する場合は、正常にキャプチャーができない可能性があります。
ゲーム機(Nintendo) | HDMI | コンポジット | 備考 |
---|---|---|---|
Nintendo Switch | ◯ | × | テレビモードでの使用必須 |
Nintendo Switch Lite | × | × | テレビ出力自体ができない |
Wii U | ◯ | ◯ | |
Wii | × | ◯ | |
ゲームキューブ | × | ◯ | コンポーネント接続は型番:DOL-101の本体のみ |
ニンテンドー64 | × | ◯ | |
スーパーファミコン | × | ◯ | |
ファミリーコンピュータ | × | △ | AV出力対応の本体の使用推奨※1 |
ゲーム機(SONY) | HDMI | コンポジット | 備考 |
---|---|---|---|
PlayStation 5 | ◯ | × | 設定でHDCPをオフにする |
PlayStation 4 | ◯ | × | 設定でHDCPをオフにする |
PlayStation 3 | △ ※2 | ◯ | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
PlayStation 2 | × | ◯ | |
PlayStation 1 | × | ◯ | |
PlayStation Vita TV | △ ※2 | × | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
PlayStation Portable | × | ◯ PSP3000のみ可 | PSP専用ケーブルが必要※3 |
その他ゲーム機・端末 | HDMI | コンポジット | 備考 |
---|---|---|---|
Xbox Series X / S | ◯ | × | |
Xbox One | ◯ | × | |
Xbox 360 | ◯ | ◯ | |
Xbox | × | ◯ | |
iOSデバイス | ◯ | × | Lightning Digial AVアダプタを使用 |
Androidデバイス | △ ※2 | × | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
※1 ニューファミコンやツインファミコンなど
※2 HDCP信号が含まれているため、HDMI接続での録画は不可。とある分配器を使用すればHDMI接続での録画が可能になる
※3 PSP2000はインターレース方式のゲーム画面のテレビ出力が不可
録画・配信性能
4Kパススルー出力対応、ハードウェアエンコード方式にて最大1080p/60fpsでのキャプチャーがPC不要で可能です。PS5・PS4の4K映像をパススルーさせつつ1080p/60fpsで録画する使い方に適しています。
録画データのストレージには、microSDXCカードやUSB HDD・SSD、NASなどが使用できます。
ER330の録画品質 | |
---|---|
エンコード方式 | ハードウェアエンコード(H.264・H.265) |
パススルー出力 | 4K(3840×2160)パススルー対応 |
対応入力解像度 | 3840×2160 / 1920×1080 / 1280×720 / 720×576 / 720×480 / 640×480 |
対応録画品質 | 1080p(60・59.94・50fps) / 1080i(60・59.94・50fps)/ 720p(60・59.94・50fps)/ 576p(50fps)/ 576i(50fps)/ 480p(60・59.94fps)/ 480i(59.94fps)/ 640×480p(60・59.94fps) |
映像ビットレート | 最大40Mbps(録画) / 9Mbps(YouTube配信)※4 / 6Mbps(Twitch・Facebook配信) |
音声ビットレート | 128kbps |
動画ファイル形式 | MP4 |
録画時間 | 1ファイル最大10時間まで ※5 |
※4 ファームウェアver1.1.7.5 以降に更新で「4.5Mbps→9Mbps」になります
※5 ファームウェアver1.1.8.9 以降に更新で「3時間まで→10時間まで」になります
2種類のパススルー出力モードについての注意点
ER330のパススルー出力は「スタンダードモード」と「ゲーミングモード」の2種類から選択します。
スタンダードモードは、キャプチャー画面上に録画開始&停止・録画時間などの情報を表示させられるモードですが、映像遅延が少し発生します。
なお、後述しますが、このモードで4K映像をパススルーさせてテレビ・モニターに出力すると、4KではなくフルHD(1920×1080)解像度になります。
ゲーミングモードは、録画に関する情報が一切表示されませんが、映像遅延なくパススルーされます。ただし、コンポジット入力時には選択できません。
このモードで4K映像をパススルーさせれば、テレビ・モニターにも4K解像度で出力されます。
シミュレーションゲームのような動きの少ないゲームはスタンダードモードで、格闘ゲームのような動きの激しいゲームはゲーミングモードで、というように使い分けることも可能です。
パススルーモードによる出力映像・録画画質の違いについて
入力される映像に対して、パススルー出力を「ゲーミングモード」「スタンダードモード」のどちらを選ぶかによって、テレビ・モニターに出力される解像度・フレームレートが変わるものがあります。
※入力映像と異なる解像度・フレームレートのものは、青字で記載しています
入力映像(HDMI) | ゲーミングモード | スタンダードモード | 録画画質 |
2160p/60fps | 2160p/60fps | 1080p/60fps | 1080p/60fps |
2160p/59.94fps | 2160p/59.94fps | 1080p/60fps | 1080p/59.94fps |
1080p/60fps | 1080p/60fps | 1080p/60fps | 1080p/60fps |
1080p/59.94fps | 1080p/59.94fps | 1080p/60fps | 1080p/59.94fps |
1080p/50fps | 1080p/50fps | 1080p/50fps | 1080p/50fps |
1080i/60fps | 1080i/60fps | 1080i/60fps | 1080i/60fps |
1080i/59.94fps | 1080i/59.94fps | 1080i/60fps | 1080i/59.94fps |
1080i/50fps | 1080i/50fps | 1080i/50fps | 1080i/50fps |
720p/60fps | 720p/60fps | 720p/60fps | 720p/60fps |
720p/59.94fps | 720p/59.94fps | 720p/60fps | 720p/59.94fps |
720p/50fps | 720p/50fps | 720p/50fps | 720p/50fps |
576p/50fps | 576p/50fps | 576p/50fps | 576p/50fps |
480p/60fps | 480p/60fps | 480p/59.94fps | 480p/60fps |
480p/59.94fps | 480p/59.94fps | 480p/59.94fps | 480p/59.94fps |
640×480p/60fps | 640×480p/60fps | 640×480p/59.94fps | 640×480p/60fps |
640×480p/59.94fps | 640×480p/59.94fps | 640×480p/59.94fps | 640×480p/59.94fps |
入力映像(コンポジット) | ゲーミングモード | スタンダードモード | 録画画質 |
576i/50fps | 非対応 | 576p/50fps | 576p/50fps |
480i/59.94fps | 480p/59.94fps | 480p/59.94fps |
SDカード・USBストレージの仕様について
ER330で使用可能なmicroSDカードとUSBストレージは、下記の通りです。
【microSDカード】
- 対応カード:microSDXCカード
- スピード:UHS-I スピードクラス3(U3)A2 V30以上必須
- 対応最大容量:512GB
- フォーマット形式:exFAT / NTFS
【USBストレージ】
- 対応USBストレージ:USB 3.0/2.0接続SSD・HDD
- 対応最大容量:4TB
- フォーマット形式:exFAT / NTFS
ER330の特徴についてまとめると……
- 2021年に発売したAVerMedia製のPC不要型キャプチャーボード
- PCと繋ぐことなく、ゲーム映像の録画・配信ができる
- 4Kパススルー出力が可能で、最大録画解像度は1080p/60fps
- ゲーム機・携帯端末とHDMI・コンポジットケーブルで接続が可能
- ストレージにはmicroSDカードやUSB HDD・SSD、NASなどを使用可能
2021年に発売されたばかりの、録画だけでなく配信も可能という珍しいキャプチャーボードです。
4Kパススルー出力機能があるため、4K映像が当たり前となっているPS5・PS4 Proなどの録画・配信にちょうど良い製品です。
もちろん、コンポジットケーブルを接続すればレトロゲームにも対応できるので、色んなゲーム機で録画・配信もできますね。
ファームウェア更新して初めてキャプチャーボードとして使えるようになる点だけが気になりますが、更新後はPC不要で録画・配信できる強みを最大限活かすことができます。
配信時に細かい設定をしたい方にとっては、ER330の配信は物足りなさを感じるかもしれませんが、手っ取り早くPC不要でゲーム配信を体験したい方にとっては最適な製品です。
▼【レビュー記事もどうぞ】実際にER330(ExRecorder 330)を購入して使ってみました!
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