今回は、I-O DATA(アイ・オー・データ)のキャプチャーボード「GV-HDREC」の仕様・性能について、製品外箱や公式サイトなどに記載された情報をもとに、できるだけわかりやすくご紹介します。
「GV-HDREC」は、HDMIやコンポジット出力対応機器の映像をPC要らずで録画できるビデオキャプチャーボードです。
VHSビデオテープをデジタル化して保存する用途で作られた「GV-USB2」を、よりゲーム実況にも活用できるように改良したイメージの製品です。
電気製品の価格比較ウェブサイト「価格.com」のビデオキャプチャ人気売れ筋ランキングでは、「GV-USB2」とともに常に上位に名前が挙がるほど人気のある製品です。
GV-HDRECには残念ながら配信機能はありませんが、1080p/60fpsパススルー&録画ができるキャプチャーボードの中では、新品で約13000円という安価で魅力的な製品です。
I-O DATA「GV-HDREC」とは?特徴&使い方について
製品名 | HDMI/アナログキャプチャー GV-HDREC(通称:GV-HDREC) |
パソコンとの接続方法 | PC不要・単体録画(スタンドアロン) |
エンコード方式 | ハードウェアエンコード |
パススルー出力 | フルHD(1920×1080)パススルー対応 |
最大録画品質 | 1080p/60fps |
映像ビットレート | 最大36Mbps |
接続可能なビデオ端子 | HDMI・コンポジット |
対応ストレージ | SDカード(128GBまで)、USB HDD/SSD/メモリー(2TBまで) |
発売日 | 2016年12月下旬頃 |
備考 | 1ファイル最大10時間まで録画可能 |
「GV-HDREC」は、スマホ・テレビ・コンピュータなどの周辺機器を製造・販売している、株式会社アイ・オー・データ機器によるビデオキャプチャーです。
PC不要のスタンドアロン起動による、フルHDパススルー&HDMI・コンポジット接続で最大1080p/60fpsの録画が可能で、様々なゲーム機の映像のキャプチャーに対応しています。
初心者でも簡単に扱えるようなシンプルな仕様で作られていて、録画に関する設定項目も必要なものだけに絞られています。デジタルカメラの設定項目をイメージするとわかりやすいかもしれません
また、ゲーム実況だけでなく、VHSビデオテープの映像をSDカードやUSBストレージに保存する「GV-USB2」のような使い方をする人も多いのが特徴です。
1家に1台置いてあると何かと便利なため、価格.comのビデオキャプチャー売れ筋ランキングでも常に上位に入るほどの人気商品です。
2021年現在も、AmazonやYahoo!ショッピングなどのネット通販サイトで、税込13000円前後で販売中です。
ElgatoやAVerMedia製のキャプチャーボードと比べても、新品13000円ほどで1080p/60fpsの録画ができるコストパフォーマンスの高さも特徴です。
GV-HDREC/E・GV-HDREC/B2・GV-HDREC1Tとの違いについて
単にGV-HDRECといっても、同じ名称なのに「GV-HDREC/E」「GV-HDREC/B2」「GV-HDREC1T」という、機能や同梱物が異なる商品が存在します。
GV-HDRECが「PC不要の単体録画が可能、PC接続での録画や配信は不可」という製品として、それぞれの違いを簡単に説明すると……
- GV-HDREC/E:GV-HDRECと同製品でHDMIケーブルが付属しない特定販路専売品(Amazon等で専売)
- GV-HDREC/B2:PC不要で単体録画&PC接続で配信が可能なビジネスモデル
- GV-HDREC1T:GV-HDRECに1TB HDDが付属するセット商品
PC不要でゲーム映像の録画だけを行う場合はGV-HDRECを、録画だけでなくYouTubeなどで配信も行う場合はGV-HDREC/B2も検討すると良いでしょう。
ただしGV-HDREC1Tに関しては、外付けHDDが2TBまで対応していることを考えると、わざわざ買うメリットはほとんどありません。
ネット通販サイトでは、商品名や同梱物などをよくチェックして、間違えて購入しないように気をつけましょう。
GV-HDREC 本体の外観&接続端子をチェックしよう
- 大きさ:幅140mm×奥行60mm×高さ32mm
- 重さ:約160g
デジタルカメラのような箱型をしたキャプチャーボード。
PC不要での録画を売りにしているため、持ち運びしやすいサイズ・デザインですね。
ちなみに、このデザインはGV-HDREC/B2でも使われています。
本体上面の右側に、各種ボタンがあります。
「電源」「メニュー」「モード」「録画」「方向」などを使って、GV-HDRECの操作をします。
上面左側のスペースには、ステッカーメーカーを使って作成したステッカーやシールを飾り付けることができます。
本体前面には、左から「SDカードスロット」「ステータスランプ」「ヘッドセット端子」があります。
SDカードスロットには、SD・SDHC・SDXCカードを挿入します。SDカードは単体録画モード時のストレージとして使用します。
ステータスランプは、本体の状態にあわせて緑・赤・橙などに点灯・点滅します。
ヘッドセット端子にヘッドセットを繋ぐことで、音声入力も可能になります。3.5mm 4極ミニジャックですので、間違えないようにしましょう。
本体背面には左から「AV入力端子」「HDMI入力端子」「HDMI出力端子」「USBポート」「DC IN」があります。
AV入力端子には、付属品のAV入力変換ケーブルを繋ぎます。
HDMI入力端子には、ゲーム機・スマートフォンなどの映像出力機器とHDMIケーブルで繋ぎます。
HDMI出力端子には、付属品のHDMIケーブルで映像出力先となるテレビ・モニターと繋ぎます。
USBポートには、USB HDD・SSDやUSBメモリーを接続します。
DC INには、付属品のACアダプターを繋いで本体に給電します。
ちなみに、ISCB-CD20K(DC INとUSB端子のやつ)や後継品ISCB-CD100Kというものを使えば、スマホやタブレットを充電する時と同じように給電でき、容量が十分あるモバイルバッテリーも使用可能です。
本体底面にあるカバーを外すと、内蔵時計用のボタン電池が現れます。
購入時には絶縁テープが貼ってあるため、はがしてから本体を起動させましょう。
日付や時刻がおかしくなったら電池切れですので、早めに交換しましょう。
ケーブル類は本体背面にまとめられるような配置になっているため、収録環境がスッキリします。
GV-HDRECの付属品
下記6点がGV-HDRECの付属品です。
- 取扱説明書
- かんたんガイド
- HDMIケーブル
- AV入力変換ケーブル
- ACアダプター
- 内蔵時計用ボタン電池(CR2025・本体に装着済み)
必ずお読みくださいと書かれた取扱説明書と、かんたんガイドはGV-HDRECのマニュアルです。サイトでも見ることができます。
HDMIケーブルは、パススルー出力用に1本付属しています。
AV入力変換ケーブルは、本体のAV入力端子に繋いでゲーム機と接続することができます。レトロゲームでよく見かける赤・白・黄のRCA端子(コンポジット+ステレオ音声)を接続できます。
ACアダプターは、本体給電用に付属しています。
内蔵時計用ボタン電池(CR2025)は、本体に装着済みとなっています。
SDカードや外付けストレージは別売りです。
GV-HDRECのスペックについて/本体仕様・録画品質をチェックしよう
ここではGV-HDRECの各種スペックについて、以下4つに分けながら確認していきましょう。
- 接続可能なゲーム機・端末
- 録画性能
- SDカード・USBストレージの仕様について
- 「画質設定方法」と「記録モードごとの録画時間目安」について
接続可能なゲーム機・端末
GV-HDRECとHDMI・コンポジットで接続可能な機器を、Nintendo・SONY・その他ゲーム機(端末)ごとに表にまとめてみました。
なお、実機の使用を前提としているため、互換機や映像・音声コンバーターなどを使用する場合は、正常にキャプチャーできない可能性があります。
ゲーム機(Nintendo) | HDMI | コンポジット | 備考 |
---|---|---|---|
Nintendo Switch | ◯ | × | テレビモードでの使用必須 |
Nintendo Switch Lite | × | × | テレビ出力自体ができない |
Wii U | ◯ | ◯ | |
Wii | × | ◯ | |
ゲームキューブ | × | ◯ | コンポーネント接続は型番:DOL-101の本体のみ |
ニンテンドー64 | × | ◯ | |
スーパーファミコン | × | ◯ | |
ファミリーコンピュータ | × | △ | AV出力対応の本体の使用推奨※1 |
ゲーム機(SONY) | HDMI | コンポジット | 備考 |
---|---|---|---|
PlayStation 5 | ◯ | × | 設定でHDCPをオフにする |
PlayStation 4 | ◯ | × | 設定でHDCPをオフにする |
PlayStation 3 | △ ※2 | ◯ | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
PlayStation 2 | × | ◯ | |
PlayStation 1 | × | ◯ | |
PlayStation Vita TV | △ ※2 | × | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
PlayStation Portable | × | ◯ PSP3000のみ可 | PSP専用ケーブルが必要※3 |
その他ゲーム機・端末 | HDMI | コンポジット | 備考 |
---|---|---|---|
Xbox Series X / S | ◯ | × | |
Xbox One | ◯ | × | |
Xbox 360 | ◯ | ◯ | |
Xbox | × | ◯ | |
iOSデバイス | ◯ | × | Lightning Digial AVアダプタを使用 |
Androidデバイス | △ ※2 | × | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
※1 ニューファミコンやツインファミコンなど
※2 HDCP信号が含まれているため、HDMI接続での録画は不可。とある分配器を使用すればHDMI接続での録画が可能になる
※3 PSP2000はインターレース方式のゲーム画面のテレビ出力が不可
録画性能
PC不要で収録ができ、フルHDパススルー出力対応、ハードウェアエンコード方式にて最大1080p/60fpsでのキャプチャーが可能です。Nintendo Switchのキャプチャーにちょうど良い性能ですね。
このスペックですと、ElgatoやAVerMedia製キャプチャーボードの価格は18000円くらいになりますが、GV-HDRECは13000円ほどと性能のわりにコストパフォーマンスが良いのも驚きです。
しいて言えば、PCと繋いでも認識されずゲーム配信の用途には使用できないのが惜しいところですが、ゲーム映像を録画する目的で使うなら満足できる機能・性能が揃っています。
GV-HDRECの録画品質 | |
---|---|
エンコード方式 | ハードウェアエンコード |
パススルー出力 ※4 | フルHD(1920×1080)パススルー対応 |
対応入力解像度 | 1920×1080 / 1280×720 / 720×480 |
対応録画品質 | 1080p(60・30fps ※5)/ 1080i(60fps)/ 720p(60fps)/ 480p(60fps) |
映像ビットレート | 36・28・16・12・4Mbps |
音声ビットレート | 256kbps |
動画ファイル形式 | MP4(MPEG-4 AVC/H.264) |
※4 パススルーは録画時のみON・常時ON・常時OFFの3段階で選択可
※5 1080p/30fpsはパススルー時のみ選択可
SDカード・USBストレージの仕様について
単体録画モード時に使用可能なSDカードとUSBストレージは、下記の通りです。
【SDカード】
- 対応カード:SD・SDHC・SDXCカード(最大128GBまで)
- スピード:class2~10 / UHS-I スピードクラス1~3
- フォーマット形式:FAT32・exFAT(FAT32では映像データは4GBまでに制限されます)
※フルHD最高画質・高画質での記録には、Class 6以上を推奨
SDカードアダプタを使用してmicroSDカードを使うことも可能ですが、容量は変わらず128GBまでとなります。また、FAT32は4GBまでの制限があるため、exFAT形式で録画しましょう。
【USBストレージ】
- 対応USBストレージ:USB 3.0/2.0接続SSD・HDD・USBメモリー(最大2TBまで)
- フォーマット形式:FAT32・exFAT(FAT32では映像データは4GBまでに制限されます)
- 最長録画時間:1ファイル10時間まで
あまりにスペックの低いストレージを使うと、正常に録画ができない場合があるため、性能に余裕のあるものを用意しましょう。
PCまたはGV-HDRECのメニューからexFAT形式にフォーマットすることができます。
「画質設定方法」と「記録モードごとの録画時間目安」について
GV-HDRECの画質設定は、下記の5つの記録モードの中から選択します。
記録モードごとに解像度・フレームレート・ビットレートが固定されているため、細かく調整することはできません。
- フルHD 最高画質:1080p/60fps、36Mbps
- フルHD 高画質:1080p/60fps、28Mbps
- フルHD 標準画質:1080p/30fps、16Mbps
- HD 記録容量優先:720p/60fps、12Mbps
- SD画質:480p/60fps、4Mbps
また、各記録モードごとの録画時間の目安は以下の通りになります。
64GB | 128GB | 1TB | 2TB | |
フルHD(最高画質) | 約3.5時間 | 約7時間 | 約55時間 | 約110時間 |
フルHD(高画質) | 約4.5時間 | 約9時間 | 約75時間 | 約150時間 |
フルHD(標準画質) | 約8時間 | 約16時間 | 約125時間 | 約250時間 |
HD(記録容量優先画質) | 約10時間 | 約20時間 | 約160時間 | 約320時間 |
SD画質 | 約30時間 | 約60時間 | 約480時間 | 約960時間 |
GV-HDRECの特徴についてまとめると……
- 2016年に発売した I-O DATA製のPC不要キャプチャーボード
- PCと繋ぐことなく、ゲーム映像の録画ができる
- フルHDパススルー出力が可能で、最大録画解像度は1080p/60fps
- ゲーム機・携帯端末とHDMI・コンポジットケーブルで接続が可能
- ゲーム実況だけでなくVHSテープのデジタル化保存など、用途が広く利用者も多い
- 1080p/60fpsキャプチャーができる製品の中では安価でコストパフォーマンスが良い
今回紹介したGV-HDRECやGV-USB2もそうですが、I-O DATA製のキャプチャーボードに共通するのは、誰でも簡単に映像データの保存ができることを目的とした製品が多いことです。
ゲーム実況上級者からしたら「設定項目が少なくて自由度が低い」と感じるかもしれませんが、決まった選択肢から1つ選ぶだけで簡単に設定できる手軽さは、GV-HDRECを初めて使う人にとっては非常にありがたいシステムです。
価格.comの売れ筋ランキングで常に上位をキープしているのにも、そうした理由が関係しているかもしれません。
もちろんゲーム実況に活用できる性能も備えているため、ElgatoやAVerMediaのようなゲームキャプチャーに特化した製品よりも、普段使いのできる家電製品のようなキャプチャーボードのほうが好みの方におすすめできる製品です。
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