今回は、AVerMediaのキャプチャーボード「Live Gamer EXTREME GC550」の仕様・性能について、製品外箱や公式サイトなどに記載された情報をもとに、できるだけわかりやすく紹介していきます。
後継モデル「GC550 PLUS」が登場したことで、GC550は「型落ちの古いキャプチャーボード」という見方をされますが、そんなことはありません。
確かにGC550 PLUSは4Kパススルー出力に対応しましたが、代わりにコンポーネント接続によるキャプチャーが廃止されています。
高性能かつHDMI&コンポーネント接続対応という点がGC550の特徴でありメリットでもあったため、用途がハッキリしたというほうが正しいかもしれません。
ゲーム実況&ゲーム配信で一つの基準となる「1080p/60fpsキャプチャー」はクリアしているため、4K映像を扱わない人にとってはGC550は最適解になり得るキャプチャーボードです。
※GC550 PLUSについては、下記の記事をご覧ください。
AVerMedia「GC550」とは?特徴&使い方について
製品名 | Live Gamer EXTREME GC550(通称:GC550) |
パソコンとの接続方法 | 外付け型・USB3.0(=USB3.2 Gen1) |
エンコード方式 | ソフトウェアエンコード |
パススルー出力 | フルHD(1920×1080)パススルー対応 |
最大録画品質 | 1080p/60fps |
映像ビットレート | 最大60Mbps |
接続可能なビデオ端子 | HDMI・コンポーネント |
対応OS | Windows 7 以降(64・32ビット版) |
発売日 | 2015年7月9日 |
備考 | カバーデザインソフト「Cover Creator」が利用可能、後継モデルは「GC550 PLUS」 |
「Live Gamer EXTREME GC550」は、様々なデジタル機器の設計・製造をしている台湾の企業・AVerMediaによるHDMIゲームキャプチャーボードです。
USB3.0(USB3.2 Gen 1)接続の高速データ転送によるフルHDパススルー出力&1080p/60fpsでの録画が可能なだけでなく、HDMI・コンポーネント接続対応で様々な機器の映像キャプチャーもできる優れた製品です。
生産自体は残念ながら2019年1月時点で既に終了していますが、現在でもヤフオクやメルカリでは中古品で見かけることが多く、15000円前後で取引されています。
記事冒頭で挙げたように、後継モデルは「GC550 PLUS」で、AmazonやYahoo!ショッピングなどで新品26000円前後で販売されています。
GC550との違いですが、GC550 PLUSでは4Kパススルー機能の追加やそれにともなうキャプチャー性能の向上、コンポーネント接続の廃止などが挙げられます。
GC550 本体の外観&接続端子をチェックしよう
- 大きさ:幅145.3mm×奥行97.2mm×高さ29.0mm
- 重さ:約182.0g
AVerMedia製品によく見られる黒&赤の2色を基調とした箱型の変わった形のキャプチャーボード。本体前面側が低くて背面側が高い台形のようなフォルムをしています。
GC550のデザインは、後継モデル「GC550 PLUS」にもそのまま引き継がれています。接続端子は少し異なりますが、ほぼ同じ作りになっています。
本体上面には「LGX」「LIVE GAMER EXTREME」という、やや主張が激しい文字が見えますが、これは紙製ジャケット(カバー)のようなものなので取り外しが可能です。
加えて、GC550のカバーデザインソフト「Cover Creator」で、自分の好きなカバーを作成することもできます。
また、カバー前面側の部分は本体の状態ランプになっています。
本体の動作状況によって赤・青に発光します。
本体前面には左から「3.5mm AUX IN端子」と「3.5mm MIC IN端子」のみ。
3.5mm AUX IN端子では3.5mm 3極ミニプラグで外部音声入力が、3.5mm MIC IN端子では3.5mm 3極ミニプラグでマイク音声入力が可能です。動画とミックスして録画することもできます。
本体背面には左から「Micro USB3.0 Type-B端子」「COMPONENT IN端子」「HDMI IN / OUT端子」があり、中央部分に「ロックネジ」があります。
Micro USB3.0 Type-B端子には、付属品のUSB3.0ケーブルを接続します。
パソコンと繋いでデータ転送&給電を行います。
COMPONENT IN端子には、付属品の「コンポーネント変換ケーブル」や「PlayStation3専用ケーブル」を接続できます。
このCOMPONENT IN端子はAVerMedia製品特有のものですが、AVT-C875・CV710の「AV IN端子」と同じものが使われています。
HDMI IN / OUT端子には、ゲーム機や携帯端末などの映像出力機器やテレビ・モニターなどとHDMIケーブルで繋ぎます。
GC550はフルHDパススルー出力機能を搭載しているため、パススルー用にHDMIケーブルが付属しています。
ここまで見てわかる通り、GC550本体の端子は実況・配信時に実用的かつ邪魔にならないような配置になっています。ケーブルでごちゃごちゃしがちな収録環境をスッキリさせることができますね。
GC550の付属品
下記8点がGC550の付属品です。
- クイックガイド
- USB 3.0ケーブル(1200mm)
- HDMIケーブル(1500mm)
- コンポーネント変換ケーブル(125mm)
- PlayStation3専用ケーブル(2000mm)
- 3.5mm ステレオオーディオケーブル(1800mm)
- カバー
- ロックネジ(ドライバーで締めるタイプ)
クイックガイドはGC550の説明書です。AVerMedia公式サイトのサポートからもダウンロードが可能です。
USB3.0ケーブル(1200mm)はPCと接続して、データ転送&給電のために使用します。
HDMIケーブル(1500mm)はパススルー用に付属しています。USBケーブルもHDMIケーブルも市販のもので代用できます。
コンポーネント変換ケーブル(125mm)は、本体のCOMPONENT IN端子に繋いでゲーム機のコンポーネントケーブルを接続することができます。
PlayStation3専用ケーブル(2000mm)も同様に、本体のCOMPONENT IN端子に繋いでPS3と接続することができます。
PS3の映像はHDCP信号でプロテクトされているため、HDMIケーブルをそのまま接続しても映像が出力されません。そのため、PS3映像の録画には専用ケーブルを使用します。
PS3専用ケーブルの画質は、コンポーネントケーブルで接続したときと同じです。
ちなみに、AV IN コンポーネントAV変換ケーブルとPlayStation3専用ケーブルはAVT-C875やCV710とまったく同じものなので、使いまわすことができます。
3.5mm ステレオオーディオケーブル(1800mm)は外部音声の入出力時に使用します。
カバーは、LGXと大きくプリントされたもので本体に入っています。
ロックネジに関しては、最初から付いている手で回せるロックネジとはまた別に、ドライバーで回すタイプの小さいロックネジが付いています。
GC550のスペックについて/本体仕様・録画品質をチェックしよう
ここではGC550の各種スペックについて、以下4つに分けながら確認していきましょう。
- 動作環境
- 使用可能なキャプチャーソフト
- 接続可能なゲーム機・端末
- 録画性能
動作環境
【デスクトップパソコン(CPU/グラフィックボード内蔵のハードウェアエンコーダ必須)】
- 対応OS:Windows 10 / 8.1 / 7(64 / 32ビット版)
- 接続インターフェース:USB 3.0 以降のポート
- CPU:Intel Core i5-4440 3.10GHz(Haswell)以上
- グラフィックボード:NVIDIA GeForce GTX 660 同等以上
- メモリ:4GB RAM 以上(8GB RAM 以上を推奨)
【デスクトップパソコン(ソフトウェアエンコーダ使用)】
- 対応OS:Windows 10 / 8.1 / 7(64 / 32ビット版)
- 接続インターフェース:USB 3.0 以降のポート
- CPU:Intel Core i7-4770 3.4GHz(Haswell)以上
- グラフィックボード:NVIDIA GeForce GTX 660 同等以上
- メモリ:4GB RAM 以上(8GB RAM 以上を推奨)
【ノートパソコン(CPU/グラフィックボード内蔵のハードウェアエンコーダ必須)】
- 対応OS:Windows 10 / 8.1 / 7(64 / 32ビット版)
- 接続インターフェイス:USB 3.0 以降のポート
- CPU:Intel Core i7-4700(Haswell)以上
- グラフィックボード:NVIDIA GeForce GTX 870M 同等以上
- メモリ:4GB RAM 以上(8GB RAM 以上を推奨)
GC550が発売された2015年7月といえば、その1か月前の6月にIntel 第5世代CPUが、1か月後の8月にIntel 第6世代CPUが発売されていたため、GC550発売当時の要求スペックは非常に高いものでした。
現在(2021年)では第11世代CPUまで発売されているため、そこまで高いPCスペックを要求されているわけではありません。
とはいえ、快適な動作にはCPUだけでなくグラフィックボードの性能も余裕があると良いでしょう。
また、使用するUSBポートに関しては、Intel製USB 3.0ホストコントローラが推奨されています。
※ASMedia・Renesas・Fresco・VIA製の場合は、USB 3.0ホストコントローラのドライバーアップデートが推奨されていたり、そもそも使用不可のUSBホストコントローラが一部存在します。
使用可能なキャプチャーソフト
- AVerMedia「RECentral(最新verはRECentral 4)」
- OBS Studio
- Xsplit
- アマレコTV
- その他サードパーティー製ソフト
AVerMediaのサイトから無料キャプチャーソフト「RECentral(最新verはRECentral 4)」をダウンロードすることができます。
また、OBS StudioやXsplit、アマレコTVなどのサードパーティー製キャプチャーソフトにも対応しています。
いくつか使用してみて、使いやすいソフトで録画・配信をすると良いでしょう。
接続可能なゲーム機・端末
GC550とHDMI・コンポーネントで接続可能な機器を、Nintendo・SONY・その他ゲーム機(端末)の順番に表にしてまとめてみました。
実機の使用を前提としているため、互換機や映像・音声コンバーターなどを使用する場合は、正常にキャプチャーができない可能性があります。
ゲーム機(Nintendo) | HDMI | コンポーネント | 備考 |
---|---|---|---|
Nintendo Switch | ◯ | × | テレビモードでの使用必須 |
Nintendo Switch Lite | × | × | テレビ出力自体ができない |
Wii U | ◯ | ◯ | |
Wii | × | ◯ | |
ゲームキューブ | × | △ | コンポーネント接続は型番:DOL-101の本体のみ |
ニンテンドー64 | × | × | |
スーパーファミコン | × | × | |
ファミリーコンピュータ | × | × |
ゲーム機(SONY) | HDMI | コンポーネント | 備考 |
---|---|---|---|
PlayStation 5 | ◯ | × | 設定でHDCPをオフにする |
PlayStation 4 | ◯ | × | 設定でHDCPをオフにする |
PlayStation 3 | △ ※1 | ◯ | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
PlayStation 2 | × | ◯ | |
PlayStation 1 | × | × | PS1ソフトはPS3で使用可能 |
PlayStation Vita TV | △ ※1 | × | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
PlayStation Portable | × | ◯ | PSP2000・3000専用ケーブルが必要 |
その他ゲーム機・端末 | HDMI | コンポーネント | 備考 |
---|---|---|---|
Xbox Series X / S | ◯ | × | |
Xbox One | ◯ | × | |
Xbox 360 | ◯ | ◯ | |
Xbox | × | ◯ | |
iOSデバイス | ◯ | × | Lightning Digial AVアダプタを使用 |
Androidデバイス | △ ※1 | × | HDMI接続での録画には専用の分配器が必要 |
※1 HDCP信号が含まれているため、HDMI接続での録画は不可。とある分配器を使用すればHDMI接続での録画が可能になる
録画性能
フルHDパススルー出力対応で、最大1080p/60fpsでのキャプチャーが可能です。
GC550はソフトウェアエンコード方式を採用していますが、グラフィックボード・CPU内蔵ハードウェアエンコーダ(NVIDIA・AMD・QSVなど)での使用が推奨されています。
PCパフォーマンスも向上するため、安定した録画・配信を行いたい場合におすすめです。
GC550の録画品質は「最高・良い・標準・カスタム」の中から選択します。
プリセットでも悪くはないですが、カスタムのほうが細かい調整ができるので便利です。
- 最高(1920×1080/60fps・30Mbps・256kbps)
- 良い(1280×720/30fps・12Mbps・128kbps)
- 標準(848×480/30fps・4Mbps・128kbps)
- カスタム(下記の録画解像度・フレームレート・ビットレートなどを自由に調整可能)
GC550の録画品質(RECentral3 シングルモード使用時) | |
---|---|
エンコード方式 | ソフトウェアエンコード |
パススルー出力 | フルHD(1920×1080)パススルー対応 |
対応入出力解像度 | 1080p / 1080i / 720p / 576p / 576i / 480p / 480i |
対応録画品質 ※2 | 1920×1080 / 1680×1050 / 1440×900 / 1360×768 / 1280×1024 / 1280×800 / 1280×768 / 1280×720 / 1024×768 / 800×600 / 848×480 / 768×480 / 720×576 / 720×480 / 640×480 / 640×360 / 576×360 |
フレームレート ※2 | 60・50・30・25・24・20・15fps |
映像ビットレート | 60~0.3Mbps |
音声ビットレート | 256・192・128・96・64・32kbps |
録画ファイル形式 | MP4 |
※2 映像ソースの解像度・フレームレートによって設定できないものもあります
GC550の特徴についてまとめると……
- 2015年に発売したAVerMedia製の外付け型キャプチャーボード
- フルHDパススルー出力対応で、最大1080p/60fpsのキャプチャーが可能
- HDMIだけでなくコンポーネント接続のゲーム映像の録画・配信にも対応
- 自分好みのGC550のカバーをCover Creatorで作れる
Live Gamer EXTREMEという名の通りに、高品質なゲーム実況・配信を行いたいという人にちゃんと応えてくれる機能・性能をもった製品です。
確かに後継モデルのGC550 PLUSは、HDMI接続による4Kパススルー出力対応という配信向けのスペックに作られていますが、GC550もPCスペックさえ充分ならまだまだ利用価値のあるキャプチャーボードです。
むしろ、4K映像は不要で幅広いゲーム機の映像をキャプチャーしたいという方には、GC550 PLUSよりもGC550のほうがおすすめかもしれません。
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